用事があり帰省した。
いつもながら、日本海の海は、穏やかに波打っている。ピーヒョロロ、ピーヒョロロと、懐かしい鳴き声を背中で聞いて海岸沿いを歩く。
家に着くと、父が話し始めた。
「昔猟師が囲炉裏を囲んで、狸の話をしとってよ、明日狸の穴を見つけて、狸捕まえたら、みんなで狸汁して食て、それから毛皮売ったら、高う買うてくれるさけ、しばらくは暮らしていけるさけの〜。
ほやけど、そんな簡単に狸ちゅうのは捕まらんさけの。
わしも昔、山で狸の穴見つけて掘ったことがあるけんど、あれらは抜け穴っちゅうのをこしらえてあって、わしが掘ったら全部逃げてしもて捕まらんかった。
わしはあの猟師の話を思い出す度に、捕らぬ狸の皮算用って言葉を思い出すんや」
「それからの、狸ちゅうのは、穴熊っちゅう狸の仲間に穴掘らせての、あれらはあんまり爪が丈夫で無いさけ、穴熊に掘らせて同居しとるんや、狸の穴掘って5、6匹穴に入っとる内、1、2匹は穴熊っちゅう話や」
熱燗を飲みながら、そんな話をする父は、少年のように目を輝かせる。
昔々のお話
京都・ほのぼの
昔の人の伝え話、味がありますねぇ。また、春の宴でロウソクを灯してみなさんに披露してくださいね。
返信削除またみんなに古き日本人の昔話を伝えたいです。
削除私の実家は町の中にあるので、囲炉裏はありませんが、父の実家には以前囲炉裏があり日本昔話に出てくるような、茅葺き屋根の家でした。今はだれも住んでいませんが、お盆に行くと親戚が集まり、日本人の元風景を感じてなりません。トンビの鳴き声は、どこか寂しげです。
削除ほのさんのご実家には、囲炉裏があるんですか!?
返信削除私も海辺で、トンビを久しぶりにながめたくなりました。